第6章  唐突な別れ

 しんじとハナコの別れは、少なくとも2人にとって唐突だった。しんじが中学校3年生になり、修学旅行に行った時のことである。親達は、この時とばかり、ハナコを処分することにした。しんじもそろそろ家の事情がわかる年齢になってきたし、以前ほど異常なまでの感情を見せなくなってきた。後で、きちんと説明すればわかってくれるだろうという期待もあった。ただ、しんじのいるところで、処分するのはあんまりなので、この時しか考えられなかったのである。

 しんじが修学旅行から帰ってきた時、ハナコがいないことを知り、ガク然とした。自分が修学旅行に行ってはしゃぎ回っていた楽しい思いをしていた頃にハナコが処分されてしまったのである。このことを考えるとしんじの心は、押しつぶされるように沈んでいった。しかし、その時は不思議と涙は出なかった。悲しいと言えば、悲しいが、いまだにハナコがいなくなってしまったことが信じられなかったのだ。涙が出ないことで、何かそういう感情が欠けてしまったような気がしてきたのだ。



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