おまけ日記
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04.02.11 ぶってたまるか
 何よ。もうマルカぶっちゃって。あんたなんかね。もう好きなだけマルカぶれば良いのよ。あんたの本性なんて、みんなわかっているんだからね。そんないつまでもマルカぶってばかりていたら、そのうち誰も相手にしてくれなくなるわよ。ふんっ!

 というわけで、昨日……、じゃなくて今月3日(途中まで書いて放置してしまったのだ)は節分であった。英語で言うとKISSではない。それは接吻だからだ。わたしが言いたいのは節分である。豆を用いて鬼を退治する日である。テレビには有名力士が渾身の力を振り絞って、眼下に群がる鬼達に向かって豆を投げつける様子が映し出される。あるいは、都市の数だけ豆を食べる日でもある。最近あちこちで市町村が合併して都市が増えてしまったため、完食するのはなかなか大変なのである。
 とにかく節分と言えば豆だろう。ところが近年「節分は巻き寿司だ」という派閥が勢力を伸ばしている。何故巻き寿司なのか。巻き寿司で鬼のぽっぺたをペチペチやって退治するのだろうか。たしかに巻き寿司でぽっぺたをペチペチされるのはイヤな感じだろうけど、それで退治される鬼というのもどうだろう。あまり怖くない気がする。そして、やはり都市の数だけ巻き寿司を食べなきゃならないのだろうか。

 と思っていたら、そういうことではないらしい。なんでも恵方に向かってマルカぶりするそうである。マルカというのはよくわからないが、とりあえず外国人の少女の名前のような語感である。この場合の巻き寿司の役割がわからないが、とにかく巻き寿司を持ってそのマルカちゃんのような仕草をするということだろうか。しかし、そんなやつは見たことがない。たぶん、この推測は間違っている。
 似たようなようなもので、猫かぶりなら知っている。猫の皮をはいで、その生皮を着用することだ。外側は猫の毛皮であるため、一見普通の猫にしか見えないのだけれども、その中身は動物を虐殺するような恐ろしい人物であるという。つまり、マルカブリとは、「マルカ+振り」ではなく、「マル+被り」という構成ということになる。外見をマルに見せかけ中身はシカクという……、ええと、もうボケは良いって?

 まあ、なんとなくわかる。おそらく、丸ごとかぶりつくの略だろう。通常、巻き寿司というものは一口大に切り分けるのが正しい食し方と思われるが、それを敢えて丸ごとかぶりつくのである。既成概念に囚われない自分を演出するという試みなのだろう。上品であることに抵抗したいプチアナーキストなのだ。大袈裟に書くとそうなる。もっとも実際には「なんだか最近そういうのが流行っているから自分もやってみる」みたいなメンタリティがほとんどだろう。
 どうやらこの風習は関西の方面の発祥らしい。しかし、今やここいらのコンビニでも節分用の寿司のポスターが貼られている。今年はポスターが貼られていないコンビニを見かけなかったほどだ。わたしがこの奇習の存在を知ったのは、インターネットを始めてからのことである。正確な年数は忘れたけど、誰かの日記を読んで知ったので、せいぜい6、7年くらい前だろうか。それから僅か数年でここまで一般化してしまうとは驚きである。なんだか今では、古くからの伝統的な風習のように思えてしまうほどだ。

 昔からサンタの衣装が赤かったと思ってしまうのと似たようなものだろう。あれはコカコーラの宣伝であった。あるいは、バレンタインデーのチョコレートのようなものだろう。これもお菓子屋が流行らせたということだ。ホワイトデーなんて、もうあからさまに商業ベースで作られた新しい伝統である。
 ということは、こんなに急速に広まったのは、やはり商売に絡んだ話だろう。おそらく、コンビニに卸している弁当業者が流行らせたものと思われる。ポスターひとつでそれはもう絶大な効果だ。そういえば、土用丑の日の鰻もそのようなものだった。やるな、商業。
 ちなみに韓国では、ブラックデーというのがあるそうだ。バレンタインデーにチョコレートをもらえなかった人が4月14日にジャージャー麺を食べるという。なんだか無理矢理だなあ。鼻水垂らして泣きながらジャージャー麺をすすっている姿を想像すると面白いけどね。しかし、自らは実行したくない。これを考えた商売人はちょっとアホすぎる。普通にジャージャー麺を食べたくても、あまりにも情けないのでブラックデーだけは避けるだろう。むしろジャージャー麺屋に対する新手の嫌がらせだったりして。

 と、まあ色々書いたけど、実のところ、わたしは特定の日に特定のものを食べるという行為が嫌いではないのである。むしろ大好きである。大晦日には年越しそばを食べなければ気がすまないし、土用丑の日はうなぎを食べる。普段甘いものなど食べないのに、バレンタインデーのチョコレートだけは好んでいただくことにしている。勿論4月14日にジャージャー麺は食べないけどね。それだけはイヤだ。って、こんなことばかり書いていると、なんだか嫌がらせでジャージャー麺を贈りつけられそうだ。
 それはともかく、節分に巻き寿司を丸かぶりするのもやぶさかではないのだ。やぶさかではないのだが、どうしたものだろう。実はわたし、節分に巻き寿司を食べたことがないのである。平たく言うと、巻き寿司処女なのである。いや、処女は別に平たくないか。
 とにかく処女が立体的だとしても、初めてというのはなんだか怖いのである。二の足を踏んでしまう。しかし、処女はいずれ奪われるものである。イタコになるつもりでなければ、いずれは捨てなければらないのだ。今年こそ食べねばなるまい。というわけで、3日の帰り、巻き寿司を買おうとコンビニに寄ったのだ。売り切れだった。それはもう見事な売り切れだった。そこで冒頭の文章なのである。


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