04.01.05 迎春のいじわる

 なんだろう。いい加減にしないとそろそろ年末で大忙しだなあと思っていたら、既に正月休みが終わってしまった。まったく時間が経つのは早いものだ。1秒間に5秒くらい時間が過ぎているのではなかろうかというくらいに感じる。体感5秒毎秒だ。本当に正月は終わってしまったのか。信じられない。今年中にもう一回くらい正月が来るような気がしてならない。ひょっとすると中国あたりに行けば、一ヵ月後くらいにまた正月が来るのではなかろうかという気がしてくるから不思議である。

 正月の間は、何をしていたのかというと、主にテレビを観ていた。テレビを観ていたら西武冬市のコマーシャルが盛んに流れていた。あれって関東ローカルなのかな。お買い物、お買い物……というやつだ。女の子とおかいものクマ(ぬいぐるみ)が踊っているやつだ。西武百貨店は全国展開しているけど、あまり店舗が無い地域では、コマーシャルをやってないもしれない。もし、知らないという人がいたら、ごめんなさいなのである。
 で、女の子とおかいものクマが踊っている最中にお母さんが「行きますよー」と声をかけると、女の子は「はーい」と言いながら、どこかに行ってしまうのだ。残されたおかいものクマは、所在なげに固まってしまうのである。わたしは、このシーンを見て思わず笑ってしまったのだ。

 というのも、お母さんのセリフが「ミッキーマウスよー」に聞こえてしまったからである。その時のおかいものクマの仕草が「なにっ、ぼくよりもミッキーマウスの方が可愛いっていうのか。やっぱり女の子は有名人に弱いのかよお。オロローン」といった感じに見えて仕方が無かったのである。洒落が効いているなあと。
 聞き間違いでウケてしまうとは、まったく洒落が効いているのは、わたしの耳である。なあ。ミッキーマウスの方がネタとしては面白い。うーん。どうせ聞き間違えるなら、ネタとして面白い方へ変換されてしまうようだ。
 しかし、なんだか本当に「ミッキーマウスよー」と言っているような気がしてきた。聞き直してみると、どっちにも聞こえてくる。はっきりしているようで、いまひとつはっきりしない声なんだなあ。ディズニーに余計なお金を払いたくないから、わざと中間的な喋り方をしていたりして。皆さんは、どっちに聞こえたでしょうか?

 まあ、洒落が効いている耳も人生を数倍楽しむことができるのだから、なかなか便利である。このような耳の持ち主は、わたし一人ではないようだ。なんとニューヨークヤンキース松井秀喜選手も同様の耳を持っているようである。ニュースによると、なんでも石川県根上町で行った交流会での挨拶で「声援が太平洋を越え、1年頑張ることができた。今年も、たくさんの応援を下さい」みたいなことを言ったらしい。それはすごい。(参照

 というか、大迷惑だろう。石川県根上町からニューヨークまで届くといったら、いったいどれだけ大きな声援なのだろうか。電車の騒音は100デシベルくらいだったか。それでも数キロ先まで聞こえるということはない。いや、静かな夜間であれば結構遠くまで届くかな。それでも数十キロはいかないだろう。いったい何デシベルの音を出せば、アメリカまで届くのだろうか。根上町からヤンキースタジアムまでの間は、相当な爆音が鳴り響いたことだろう。
 まあ、聞き間違いだろう。そんなことはありえない。根上町からヤンキースタジアムにまで届くような声援であれば、東京地方にも間違いなく聞こえてくるはずである。しかし、わたしには聞こえなかった。いや、わたしには聞こえなかったけど、松井選手には聞こえたという可能性もある。松井選手の耳が充分に良ければ可能な話だ。なるほど、松井選手は耳が大変敏感であると。

 しかしながら、クリアしなければならない問題がもうひとつある。音は一秒間に約340メートルくらいしか進まないのだ。たとえば国立競技場でサッカー観戦していても、ホーム側とアウェイ側の応援がかなりずれて聞こえる。ホーム側のゴール裏の応援に合わせてアウェイ側のゴール裏で応援しても、ホーム側のゴール裏に応答が返ってくるまで一秒くらいのロスがあるのだ。というわけで、大抵は別々に応援していたりする。国立競技場の観客席が一体となった応援は、なかなかどうして難しいのである。

 これを根上町とヤンキースタジアムで考えると、どうなるだろうか。両者の間は、約1万キロメートルくらい離れているものと思われる。そして、秒速340メートルは時速約1200キロメートルだ。大雑把な計算だが、根上町からの声援は、だいたい8時間遅れでヤンキースタジアムに届くことになる。
 つまり、現地時間で夕方6時開始の試合の場合、初回に送った声援は、試合が終わった後、日付が変わって夜中の2時に聞こえることになる。最終回の声援は、朝方の5時、6時に届くといったところだろうか。普通なら寝ている時間帯に声援が聞こえてくるのだ。これでは松井選手も不眠症になってしまうだろう。それとも寝ていたけど、聞こえていたと言い張るのだろうか。まるで授業中に居眠りをしていた生徒の言い訳のようである。

 などと書いてしまったが、なんていうか重箱の隅をつつくような話だなあ。まあ1月5日ともなれば、おせち料理も残り少なくなっている。重箱の隅をつつくしかないではないか。ということで、新年の挨拶に代えさせていただきます。

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