03.12.26 オクラ入り
 うーん。ヒマだなあ。ここ最近、平和すぎてすることがないのだから困ったもんだ。まったくロクな超能力者が現れやしない。もう皆小物ばかりだ。ヒマつぶしにコンピュータでもいじって遊ぶとするか。

「おい、コンピュータ! 裸だ。若い女子の裸の画像を探してこい」

 あっ、どもども。わたしの名前はみやちょ、バビル二世だ。何を隠そう超能力少年なのである。いや、それは昔の話だった。少年だったのは1970年代のことで、今は40代の半ば(*1)である。すっかり中年と呼ばれる歳だ。超能力少年というよりは、超能力元少年というか、元超能力少年というか、超能力中年なのである。うーん。あまり嬉しくない呼ばれ方だなあ。
 それはともかく、ヨミもやっつけたし、(*2)もやっつけた。平和になったのは良いのだけど、することがないんだなあ。かと言って、今更平凡なサラリーマンになることもできない。中学校中退(*3)では就職などとても無理だ。そもそも日本では失踪者扱いだ。いや、既に戸籍も無くなっているだろうか。いずれにせよ、まともなところに就職などできるはずもない。

 そんなわけで、今は地下の秘密基地に住んでいる。バビルの塔は破壊されてしまい(*4)、住めなくなってしまった。もっとも今時は、赤外線等の監視技術が進んでいる。砂嵐程度では隠し通せるはずもない。そこでバビルの塔は再建せずに地下基地を作ったのである。バビルの塔の方は、ただの遺跡にしておかないと面倒なことになるので、機械類は全て今の基地に運び込んだ。運ぶのは大変だったけど、おかげで住み心地は以前とそれほど変わりが無い。
 それにしても、すっかり引き篭もり生活になってしまった。あれだけ派手なドンパチをやったのだ。今更、表に出てこられない。表に出てきたら、常人同士の争いに巻き込まれてしまうだろう。いつまた強力な超能力者が現れないとも限らない。その時に色々配慮しなきゃならないこともあるだろうから、今はできるだけ政治的にフリーな立場でいたいのである。まあ、幸いにして、塔内の備品の一部を売ったりで、働かなくても食うには困らないのだけどね。うん。あれは結構なお金になる。

「バビル様……、裸ノ女子ノ画像データヲ発見シマシタ……、出力ヲ開始シマス……」

 おっとダウンロードが終わったか。ではちょっと失礼して……ってなんじゃこりゃっ!

「おい、コンピュータ、何だこの穴の開いた紙テープの山は!?」
「裸ノ女子ノ画像データデゴザイマス……」
「こんなの見て何が面白いと言うのかっ! 画像データなんだからモニタに表示しろよ」
「シカシ、バビル様、本コンピュータニハモニタガゴザイマセン、出力装置ハ、紙テープノミデス……、アッ、音声出力モ可能デシタ……、デハ音声ノ再生ヲシマス……、アハン…、ウフン…」
「って、モロにおまえの声じゃないか。そんなのいらねえ。ええい、バカにしやがって、食らえ、エネルギー衝撃波ーーーっ!(*5)」
「ブツッ……、異常電流ニヨリ一部回路ガ故障シマシタ、機能停止シマス……」

 やれやれ、まったくコンピュータいじりもつまらないなあ。これでも70年代には他に類に見ないほど最高性能のコンピュータだったんだけどね。まあ、今でも音声認識、音声応答といったインターフェイスはなかなかのモノだし、人口知能もいけているとは思う。しかし、いかんせんエンターテイメント性に欠けるんだなあ。まあ、目的が違うから仕方が無いのだけど、もう少し遊びの要素が欲しいものだ。それに計算能力も今では地球シミュレータには負けているかもしれない。というか、せいぜいPentium200MHzくらいもあれば良いところではなかろうか。反応速度が遅いからなあ。常人の方のコンピュータは、30年で恐ろしいほど性能を上げたからなあ。なんだよ。あのムーアの法則というやつは。

「……機能修復作業ヲ開始シマス……」

 っていうか、これだけはすごいところなんだな。自己修復機能。まあ、だから安心して壊せるってもんだ。というわけで、最近ではこうやって月に一回は壊して遊んでいる。しかし、壊れない限りは、なかなか新しいのを買う気が起こらないんだなあ。まったく良いんだか悪いんだか。まあ、この機能のおかげで助かったこともあるから、無碍にはできないところだろう。(*6)

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03.12.26 オクラ入り−2
 それにしてもヒマだなあ。そうだ。ロデムでも呼ぶか。

「おーい、ロデムやー、ロデム」
「はっ、バビル様、何の御用でしょうか?」
「ええとな。ちょっと若い女子に変身してな」
「それは一体どのような目的で?」
「目的といったらアレしかないだろう。今風のが良い。そうだな。あややだ。あややそっくりに変身してくれや」
「それはお断り申し上げます」
「なんだとお。おれの命令が聞けないってのか。しかし、そうは言っても身体が言うことを利かないだろう。3つのしもべは、おれの命令には逆らえないようにできているからな」
「うぐぐ……、ふんぬーっ! そうはいきませんよ」
「なっ、なんだ。こいつ、おれの命令を跳ね返しやがった」
「ふふふ、わたしは3つのしもべの中で一番操られにくい(*7)のをお忘れでしたか? それにしても昔に比べたら能力が落ちましたね。あの頃のバビル様の命令は、もっと強烈でしたのに」
「うっ、うるさい。人間誰だって歳は取る。歳を取れば力も衰えてくるってものだろう。そんなおれを慮って、ちょっとくらいあややに変身してくれても良いではないか」
「いやです。っていうか無理です」
「なんで無理なんだ? おまえは何にでも変身できるはずだろう?」
「いやはや、すっかり身体が硬くなりましてね。ほれ、おもちゃのスライムだって、こねくり回しているうちに汚くなって、トロトロ感がなくなってしまいますでしょ? わたしも何度となく変身を繰り返しているうちに不純物が混じって、性質が変わってきてしまったのです。だから、もうこれ以上の変身は無理ということです。いやあ、わたしも歳ですなあ」
「なんと。じゃ、良いや。黒豹のままでも……」
「ああっ、おやめください。何をするんですか!?」
「エネルギー衝撃波ーーーっ!」
「って、スタンガンで女の子を気絶させて襲う犯罪者ですか。このケダモノっ!」
「ケダモノはおまえの方だろ。何を言っているんだ。へへへ……」
「そのケダモノを襲うあなたの方がもっとケダモノなのよ」
「うるせーっ! 黙れーっ! エネルギー衝撃波ーーーっ!」
「でも、わたしくには並のエネルギー衝撃波は効きませんことよ。あなたの身代わりになって、ヨミのエネルギー衝撃波を受けて弱らせてあげた(*8)ことをお忘れかしら?」
「あっ、そうだっけ。ところで、おまえ、いつの間にか女口調に変わってるぞ」
「そうかしら、おほほ。しかし、先ほどのコンピュータの件と言い、バビル様はいつからこんなエロおやじになってしまったのですか?」
「うーん。徐々にかなあ」

 そうなのである。しかし、これには同情して欲しいところだ。何しろわたしには青春時代などなかったのだ。若い頃は、戦いに明け暮れて彼女を作る暇もなかった。結婚適齢期になっても、身を隠し続けていなければならず、女の人との出会いは皆無であった。わたしだって昔は結構モテたのだ。それなのにキスすらしたことがない(*9)。もう30年も悶々とした日々をすごしているのである。これではエロおやじになるのも無理がないではないか。だから、少しくらいエロくたって我慢してくれよ。痛っ! 痛たたた……

「なんだよ。ロデム、噛むなよ」
「ところでロデム、なんだか外が騒がしいようだが?」
「ええ、空爆を受けてます」
「なんだって? またヨミが復活でもしたのか!?」
「いえ、あれは米軍のようです」
「なんで米軍が? アメリカに何かした覚えは無いぞ」
「なんでも大量破壊兵器を探して破壊するとか」
「それで、どうしてここが……?」
「どうしてもこうしても、ここは大量破壊兵器の宝庫ですからね」
「それにしても、アメリカとは友好関係にあったはずだが」
「友好関係? そんな関係はとっくの昔に解消されてます。今ではむしろテロ支援組織として敵視されてますよ」
「エロはともかく、テロなんてやってないが」
「うーん。ミサイルを供給していたのがまずかったようですね」
「ミサイルを供給って……? はっ、おまえがちょくちょく人間に化けて塔内の備品を売りつけに行っていた相手って、もしかして……」
「ああ、その通りです」

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03.12.26 オクラ入り−3
 なんてことだ。知らぬうちにテロに加担していたとは。ロデムが勝手にやったこととは言え、責任は逃れられない。どうしたものだか。アメリカとは全面戦争になるのは避けたいところだが仕方が無い。ここは追い払うしかないか。

「おーい。ロプロスー、ポセイドンー、ちょっとあいつら追い払ってくれや」
「動きませんよ。戦いが終わってから30年も放置して、その後ロクに整備してないでしょ(*10)」
「なに? んじゃ、仕方がない。コンピュータ、ちょっと外のやつらを迎撃してくれ……」
「プツッ……、防衛機能ハ機能修復中ノタメ、タダイマサービスヲ停止シテイマス……」

 なんだよ。このボロコンピュータが。肝心な時に故障するなんて……、あっ、これはおれの所為か。さっきエネルギー衝撃波をしこたま浴びせてしまったからなあ。というか言っているうちに、出口が破壊されてしまった。仕方が無い。ここはじっと耐えるか。まあ、地下まで攻撃が及ぶことは、そうそう……

「あっ、バンカーバス……」
「ゲホゲホッ。なんで地下にまで攻撃が……」
「主要設備が破壊されましたね。火災が起こってます。ここはもう持たないでしょう」
「おい、ロデムどこへ行くんだ」
「どこへって、逃げるに決まってるでしょう」
「しかし出口は塞がってるぞ。どこから出るつもりだ」
「わたしは、水道管でも伝って脱出できますから。ご心配なさらないでください」
「心配って、おれはどうすれば良いんだよお。おまえみたいに変身できないぞ……、あっ、おまえ、さっきは変身できないって言ってなかったか?」
「言ってましたっけ? では、バビル様、運が良ければ、またどこかで逢いましょう」
「待てえ。よくも騙したなあ。こらあ、そこを動いたら塩かけて溶かすぞ!」
「ええと、わたしはなめくじじゃありませんから……」

 砂に穴掘り 隠れてる バビルの方に住んでいる
 超能力ほにゃらら(*11)バビル二世
 地中の平和を守るため 3つのしもべにほにゃららら(*11) やーっ!
 怪鳥ロプロスほにゃらららー(*11) ポセイドンはほにゃらららー(*11)
 ロデム乱心 塩かけろー

 というネタを温めていたんだけど、バビル二世について詳細を忘れてしまっていた。マンガ喫茶で古いを読んで(*1〜)の部分を確かめようと思っていたけど、面倒だったので放置していた。放置しているうちにフセインが捕まってしまって、いい加減賞味期限切れになってしまいそう。しかし、今更調べにいく気力もないので、オクラ入りなのである。でも、なんとなく勿体無いので、ここに載せてみた。なんだか同人誌にありそうな感じの話だなあ。

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03.12.26 オクラ入り−注釈
*1).バビル二世を見ていたのは、わたしが小学生の低学年頃だったと記憶している。マンガの方はもっと古いだろう。単行本の初版の年月日を調べれば正確な数字が出せそうだけど、調べられなかったので、ここは10歳年上として40代半ばにしておいた。
*2).バビル二世には続編があるのだけど、数話読んだ程度なので敵の名前がわからなかったりする。
*3).中学校で良かったっけ? 高校だったかもしれない。いずれにせよ、就職するには厳しい学歴ではある。
*4).ヨミの攻撃でボロボロになったエピソードがあったはず。4階建ての塔が2階建てになってしまったとか。その後、再建されたとかいう記憶がないけど、間違っていたらごめん。
*5).間違っていたらアレだけど、あの技はエネルギー衝撃波だったと思う。相手の身体をつかんで電気ショックみたいのがビリビリとくるやつ。「エネルギー」と言っているだけで、正確には電気ではないような気がするけど、画面が伝わってくる様子は電気そのものだ。バビル二世の技は、他に炎に包まれるというのもあったけど、あっちの方は効率が悪いのだろうか。敵を倒すのにはエネルギー衝撃波ばかり使っていた。
*6).どういうエピソードか忘れたけど、攻撃を受けてバビルの塔が粗方破壊されてしまうのだけど、しばらくして修復機能が稼動しはじめて、結果バビル二世が危機一髪助かるって話があった気がする。マイクロソフトを初めとする一連のアーキテクチャとはまったく逆だ。なんで時間が経つと重くなって動かなくなるんだかなあ。メモリリークに注意せよ。
*7).ヨミが3つのしもべに命令を出して操ることで、バビル二世に対して攻撃させようとしたエピソードがあったはず。ヨミは超能力を何倍にも増幅する機械を使って、バビル二世の命令をかき消してしまうんだな。この時、最後まで粘ったのがロデムだったはず。でも、ロデムが操られにくいのではなく、単にバビル二世の一番そばにいたからとか、ヨミの命令が届きにくいところにいたからとか、そんな理由だったかも。
*8).バビル二世やヨミの超能力って使えば使うほど、生命力が落ちていく。そこでバビル二世は、ロデムを自分の姿に変身させて、敢えてヨミに攻撃させるのね。ヨミはバカだから、「まだ死なんのかー」と言いながら、何度も超能力を使ってヘトヘトになるのね。それにしても、そんな作戦のためにロデムをこきつかうとは、バビル二世も鬼だなあ。
*9).幼馴染と牧場の娘だったかな。ちょっとだけ女の子と絡むけど好意を寄せる程度で深い仲には至らず、基本的に男の世界が話のほとんどだったと思う。キスのエピソードがあったらごめん。まあ、少年向けなのでキス以上のエピソードはないはずだ。
*10).でも、バビル二世が現れるまでの千年とか二千年とかの間、ロプロスやポセイドンは動かしてなかったんだよなあ。まあ、使いっぱなしで放置したら故障するけど、よく整備された状態で保管されていたから平気だったということで。
*11).ほにゃららの部分は、駄洒落を入れるつもりだったのだけど、そんなのをひねる気力が無かった。あまり元歌と同じくなりすぎないように、かつ、元歌を崩しすぎないように適度に変化させて埋めてみて欲しい。

 注釈を書いていたら長くなりすぎてしまった。面倒なのでアンカーは打たない。では、また。


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