第85回 98.03.05くらい 『はみだしおまけ:緊迫させる女高生』

 ええと、今日は雪か。でも、今日書くネタは、雪の話よりも一昨日の話の方が良いな。なぜならば、雪については、一月に散々書いたからである。すっかり飽きていることだろう。もし、雪についての話を読みたい人がいたら、そちらを参照していただきたい。(←それでいいのか?)

 それでだ。一昨日であるが、わたしは電車に乗ろうと思ったのだ。もっとも、電車に乗ろうと思うのは、一昨日に限った話ではなく、ほぼ毎日のことだけどね。それはともかく、電車に乗るために列に並んで待っていたのだ。もっとも列に並ぶのは、電車に乗る時に限った話ではなく、それ以外にもあるけどね。ええと、しつこい。

 それで、電車がやってきた。

 電車の中は溢れんばかりの人、人、人である。猿、猿、猿ではないので注意が必要だ。溢れんばかりの人、人、人が乗った電車の扉が開いた瞬間、中から人、人、人が溢れ出てきた。だから、溢れんばかりの人、人、人なのだ。
 その溢れんばかりの人、人、人の流れから、比較的スムーズに一人の女子高生が降りてきた。比較的というのは、何と比較してかというと、もう一人の女子高生と比較してである。もう一人の女子高生は、クルクルと回りながら出てきたのだ。約2回転。
 比較的スムーズに降りてきた一人の女子高生とクルクル回りながら降りてきた一人の女子高生、合わせて二人の女子高生は、同じ制服を着ていた。どうやら二人の女子高生は、友達同士のようである。クルクル回る女子高生は、人の流れによって別れ別れになってしまった相方を探していた。それにしても、キョロキョロと挙動不審である。
 まあ、近頃の女子高生なのだから、挙動不審なのも無理はない。わたしは、人の流れが切れたので、電車に乗り込んだ。挙動不審の女子高生も無事友達と再会できたようで、わたしの後ろから、ムニュッと乗り込んできたのだ。ムニュッと。
 ムニュッと乗り込んで、すかさずわたしの前に回り込んできた。なんだい、なんだい。後ろから来てわたしの前にムニュッと回り込むとは、いくら近頃の女子高生とはいえ随分だなあ。

 そして、すぐにクルクル回る女子高生が挙動不審だったこと、わたしの前に回り込んだことの理由がわかった。

クルクル:「見て見て、あの外人わたしの方、見てない?」
スムーズ:「やーん。見てるぅ」
クルクル:「ええっ、どうして、どうして?」
スムーズ:「すっごい顔で睨んでるぅ」

 ドアの外を見ると、なるほどたしかに外人が突っ立っていた。すごい形相でこちらを睨みつけている。まるで、旦那の浮気を知った時の妻のような感じである。いや、あまり適切ではない表現だ。要は、妻の浮気を知った時の旦那のような感じなのだ。えと、これもあまり適切ではないな。

 それはともかく、君ら何か非常に失礼なことをあの外人の前で口走ったのではなかろうなあ。外人には「女子高生だから」などという言い訳は通用しないのだ。わたしも「ワン・オー・ナイン」を「109」と言っただけで、因縁をつけられたことがあるからな。ヒュッキュー
 もちろんこれは作り話だ。すまん。しかしながら、君たちは失礼なことを言って、それをフォローせず、きゃーきゃー言っているだけなのではないのか? それで余計怒らせているのではないのか? どうにも言葉が通じなくてイライラしているといった感じだぞ。と思った。

 どうにも外人は、ひどく怒っているようであった。何も言わず、ジーッとこちらを睨んでいる。何か刺激を与えた瞬間にキレて襲いかかってきそうな雰囲気である。

クルクル:「やーん。まだ、こっち睨んでいる?」
スムーズ:「あー睨んでる、睨んでるぅ」
クルクル:「もー、やめてよねえって感じ」

 わっ、わっ、だからそんなデカい声で刺激するなよ。まだ、扉が開いているんだから。ああ、それにしてもこの扉、早く閉まってくれよなあ。君ら、あの外人が言葉がわかんないと思って油断しているだろう。外人にだって日本語が堪能な人はいくらでもいるんだぞ。日本に来ている外人だ。その可能性は充分にあるのだ。
 それに君らの態度は、言葉がわかんなくたって、侮辱されていると受け止められるぞと思われるぞ。どうやらあの外人、今必死に理性と戦っているところだ。だから、刺激しないでくれよお。と思った。

 それにしても、あの外人が本当にキレて、電車の中に乗り込み、襲いかかってきたらどうしようか。どうやら障害物となりそうなのは、わたしのようだ。
 ええと、ここは女の子っていうことで、そして暴力っていうことで、わたしが彼女らをかばわなきゃならないのか? でも、国際親善ということを考えると、こちらも暴力で対抗するのは忍びないぞ。だいたい君らの態度が、あの外人を怒らせた原因だろうしなあ。それにあの外人、結構良い身体をしている。わたしも勝てない気がしてきた。
 ええと、そうだ。君たち。あの外人から守ってあげたら、わたしとデートしてくれるか? そうでもなければ、リスクを背負ってまで守ってあげる義理は無いと思うぞ。やっぱり、ここはあっさりと君たちを差し出してしまおう。と思ったのだ。

 緊迫の30秒間。そして扉が閉まった。

クルクル:「しかし、なんだったんだろうねぇ」
スムーズ:「やーねぇ」
クルクル:「ふん。ベーっだ」
スムーズ:「そんなことしてたら、銃で撃たれたりして」

 おいおい。あかんべえは、やめてくれよお。でも、なんだか本当に銃を取り出しそうな雰囲気だなあ。わたしの立っているこの位置、もろに流れ弾に当たりそうだな。どうしよう。もし、本当に銃を取り出してきたら、しゃがんで避けるより他無いな。でも、こんなに混んでいて、いきなりしゃがめるのか。
 ああ、ああ、おいっ!! クルクルっ!! わたしの後ろに隠れるではないっ!! 元はと言えば、君の責任だぞっ!! わっ、わっ、わたしを弾避けに使おうという魂胆なのかっ!!
 運ちゃん。早いところ、車を出してくれよお。まだ出ないのか。そもそも、運ちゃんはここにはいない。先頭車両だ。そんなことはどうでもいい。いや。どうでも良くない。だいたい、この駅は停車時間が長すぎるのだ。急行電車というのもさることながら、階段付近の扉が乗り降りでゴチャゴチャしすぎているのだ。だから時間がかかるのだ。もうちょっと考えてくれよお。と思った。

 さらに緊迫の30秒間。ようやっと電車が走り出した。

 ふー。助かった。しかしなあ。これであの外人には、すっかり日本の悪い印象を与えてしまったな。あーあ、君らのような人がいるから、日本が悪く言われるのだ。それにしても、このわたしを盾にしようとしたな。縦のモノを横にもしないという君らでも、このわたしを盾にするくらいはわけ無いというのか。と思った。

 待てよ。ということは、わたしは頼りがいがありそうに見えるということか。えへん

 というわけで、今日の分はおしまいだ。では、また会う日まで。


 ↑これは日記猿人のなんたらボタンである。

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