第57回 97.04.23くらい 『イカシュー』

 今日のスタジオは何やらイカ臭かった。

 ああ、どうもみやちょです。今日は、TBSの第3スタジオまで行ってきました。何の用事かっていうと、実は「チューボーですよ」にゲスト出演することになったのでした。

 予定の時間よりかなり早めに着いたわたしは、手持ち無沙汰なのでスタジオの中を下見することにした。すると、なんだかイカのニオイがしてきたのである。まあ、今日の料理はシーフードリゾットだし、イカのニオイがしてもおかしくないのだが、それにしても結構きついニオイだ。わたしは、思わずニオイの元を辿っていった。クンクン。
 どうやら、わたしではないようだ。そりゃそうだ。わたしは、先程シャワーを浴びてきたばかりだ。だとすると、誰なのだろう?
 程なくして発生源は解明された。発生源は、この度東北出身のプロデューサーと結婚されたタイムキーパーの○○嬢であった。ちなみに、女性がイカ臭いだなんて公表したら、ちょっとかわいそうなので伏せ字にしておく。……って、番組のエンディング見りゃわかるか。

 それにしても、あまりにもイカ臭いのが不思議になって、○○嬢に理由を聞いてみた。それは、東北地方の一部に今も残っている風習が原因とのことであった。
 なんでも東北のとある地方では、スルメをフードプロセッサにかけ粉末状にしたものを新婚のお嫁さんに塗りたくるという風習があるというのである。そういえば、わたしも聞いたことがある。たしか歌にもなっていたはずだ。

 嫁に〜 粉イカ〜 奥のところへ〜

 奥ってどこだよ。このスケベ。

 それはともかく、下見をしていたら、しばらくして雨宮塔子と堺正章がやって来た。うむ。実物は、やっぱりカワイイなあ。いや、マチャアキの方ではない。もちろん雨宮の方だ。
 出演者が揃って、早速収録を開始した。そんなこんなでテキパキと下ごしらえを進めていったところ、重要な問題が発覚した。シーフードリゾットにはかかせない肝心のイカが見当たらないのである。さらに困ったことに、いつの間にかマチャアキがいなくなっていたのだ。

「巨匠ー、巨匠ー、どこへ行ったんですかー」

 まあ、いないものはしょうがない。後で編集でつなぎあわせれば良いだろう。作業を続けることにした。しかし、問題はイカだ。冷蔵庫を隈なく探してみたが、どこにも見当たらないのだ。このままでは、森高千里に「イーカ無くちゃ、イーカ無くちゃ」と言われて、ローソンまでパシリをしなくてはならないというもんだ。もっとも本当のことを言うと、むしろ一度で良いから森高にそう言われてみたいというもんだが。

 さりとて、雨宮塔子が森高千里の代わりになるわけでもなく、なんとしても材料のイカを探さなくてはならないのだ。あれこれ探し回っていたら、テーブルの上にメモがあるのを見つけた。それには「塩辛」とだけ書かれていたのだ。もしかすると、生イカの代わりに塩辛を使えということなのだろうか?

「ピンポーン、実はそうなのです。今日は手軽に風味を出す為に塩辛を使うことになっていたのです」
と雨宮は答えた。

「なんだなんだ。だったら最初に言ってくれ。慌てて損したぞ。しかし、聞いていなかったなあ。これって前から決まっていたの?」

 すると雨宮、歌いながらこう言った。
「具、塩辛、前から〜 塔子」

 これこれ、若い娘が歌う歌ではないぞ。

 それはともかく、シーフードリゾットの完成とあいなった。意外と美味い。でも塩辛で風味を出すなんて、ちょっとずるい。この番組のタイトルを「チューボーですよ」じゃなくて、「キューゾーですよ」に変えた方が良いのではないか?。急造ですよ。
 でも、良いか。それなりに美味いからね。みんなも一回やってみるといいよ。騙されたと思って。

 ムシャムシャ食べているところにケイタイが鳴った。マチャアキからだ。
「いやあ。すまんすまん。ちょっと、かくし芸大会の稽古があってさ。抜けちゃったけど、大丈夫だったよね。編集でつなぎあわせれば、なんとかなるでしょう」

 うー。かくし芸大会の稽古だったのか。それは仕方が無い。かくし芸は、マチャアキのアイデンティティだからなあ。それでも、ちょっとだけ文句を言った。
「いやあ。大変だったんですよ。塩辛を使うなんて聞いていなかったから探し回っちゃったじゃないですか」

 すると、マチャアキはこう答えた。

「塩辛」と〜 書いた〜 手紙〜 テ〜ブルの〜 上に置いたよ〜

 はあ、そうですか。

 というワケで、今日の分はおしまいだ。では、また会う日まで。


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