第54回 97.03.29くらい 『ガンガンスー』

 ああ、ガンガンスー。

 ええと、ガンガンスーというのは、頭が痛いということである。頭が痛くてガンガンするということだ。どこだかの地方の方言ではこんな感じになるらしい。ちなみに、スースーするというのは、スースースーになる。

 それはともかく、とにかく頭が痛い。どうやら、夕べの宴会で飲みすぎたようだ。久しぶりの二日酔いだ。記憶が無いがはしご酒でシコタマ飲んだらしい。
 ともかく、二日酔いは水分を補給するに限る。こういう時は、ポカリスエット等を飲むのも良いが、無ければ牛乳でも良い。大量に飲むことができ、さらにミネラル類を補給できればいいのだ。そういうわけで、牛乳を飲んだ。プハー。嗚呼牛乳は美味いなあ。特に酒を飲んだ翌朝は牛乳に限るのだ。

 かように、わたしは牛乳が好きなのだが、何も牛乳が一番好きだというわけではない。どちらかと言うと、母乳の方が好きだ。飲んだことはないけどね。食わず嫌いの反対で、飲まず好きというやつだ。だから、一度飲んでみたいと思っているのだ。
 わたしは、母乳に対して単純に好きだと言うより、一種の憧れを抱いているのだ。それは、わたしが母乳を飲んだことが無いからである。つまり、人工乳で育ったのである。母子手帳にもそう書いてあった。
 その昔、そんな母乳への思いを込めて一冊の本を書いたことがある。童話作家をやっていた時のことだ。どんな内容かというと、こんな話である。

 大晦日である。3人づれの母子がそば屋に入って、かけそばを注文するのだ。3人で来ていたが、頼んだのは一杯だけであった。350円。その一杯を3人で分け合って食べていたのだ。そう、この母子は350円しか持っていなかったのである。それにしても、かけそばでは物足りないだろう。
 と思っていたら、その母親がいきなり上着をたくし上げたのだ。そして、そばの上に母乳を絞り出したのである。なるほど、単なるかけそばが、栄養満点のそばに変わったのだ。これなら1人前を3人で分けても、充分に栄養が取れるだろう。

 それ以来、毎年大晦日になると、この母子がこのそば屋にやってきて同じことをするのである。しかし、ある年を境に来なくなってしまった。そば屋の主人は心配したが、為すすべはなかった。
 それから何年か後の大晦日、立派な身なりの青年2人と年老いた母の3人づれがやってきた。そして、一杯のかけそばを注文したのである。そう。あの母子だ。そして、あの時と同じように、母乳を絞り出したのだ。そば屋の主人は、すっかり感激してしまった。そして、思わずこうつぶやいたのだ。

「いやはや。毎年、母乳が出している割には子供が増えないのは変だなと思ってたけど、あの年でまだ母乳が出るなんて、まったくすごいなあ」

 ええと、この本みんなおぼえているだろうか? 日本全国を感動の渦に巻き込んだあの童話なのだ。タイトルは何かと言うと、そう「おっぱいのかけそば」である。

 ちなみに、わたしは母乳だけが好きなわけではない。どちらかというと、その元の方が好きだったりする。そう。つまり、おっぱいが好きなのだ。一方的に好きだと言うより、相思相愛とも言える。わたしが付き合ってきた娘は、どういうわけだか巨乳ばかりなのである。
 ここで誤解して欲しくないのだが、決して貧乳の女の子が嫌いというわけではない。貧乳の娘には、どちらかというと、おっぱい以外は大変好ましい女の子が多い。しかし、そのような娘を口説いて成功した試しはないのだ。成功するのは、なぜか巨乳の娘ばかりなのだ。「おっぱいは、成功の母」とは、よく言ったものである。

 しかし、こんなにおっぱいが好きだと書いていると、わたしが巨乳の女の子を見ると、誰彼構わずおっぱいを触り出すような変態なのだと思われかもしれない。それは誤解だ。わたしにも理性というものがある。触りたいなあと思っても、グッとこらえるくらいのことはするのだ。まあ、タガが外れるくらい泥酔でもしない限りはなあ。

 と書いたところで戦慄が走った。昨夜のことを思い出したのだ。嗚呼これでは月曜日から会社に行けないではないか。普段は酒を飲んでも頭が痛くなるようなことが無いのだが、今朝に限って痛いと思ったら、そういうことだったのか。

 昨日の宴会でのことである。酒を飲んですっかり良い気持ちになったのだ。ふと隣を見たら、巨乳の女の子が座っていたのである。酔っ払って理性を失って、ついグっと胸を揉んでしまったのだ。グっとモーミング。なんてな。酔っ払っていたので、ダジャレも低調である。
 すると、その娘は、テーブルの上にあったビール瓶でわたしの頭をガツンとやってくれたのだ。ああ、通りで頭が痛いわけだ。頭を触ってみたらタンコブができていた。しかし、この状態でハシゴ酒をするみやちょもみやちょだなあと思うのだ。

 ちょっとおっぱいのつもりで揉んでー いつの間にやらはしご酒ー

 というくらいだから、まあいいけどね。

 というワケで、今日の分はおしまいだ。では、また会う日まで。


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