第39回 96.11.30くらい 『狸の捕獲方法について』

 さて、「みや千代日記」であるが、今回より中級編に突入した。なぜならば、そんな気分だからだ。ついていけない者はおいていくので、注意して欲しい。

 いつも手抜きのダジャレというのもなんなので、今日は蘊蓄で攻めてみようと思うのだ。そんな気分なのだ。今日題材に選んだのはタヌキである。今まで隠しておいたが、わたしは犬科の動物について詳しいのだ。なにしろ、小学生の頃から犬科の動物について研究を重ねてきたのである。
 その研究は、非常に凝っていた。わたしは、城みちるとともに犬科に凝った少年と並び称されていたくらいである。しかし、犬科ならば、別にタヌキでなくキツネでも良いではないかと言う人もいるだろうが、それには理由がある。

 日本を二分する勢力といえば、東日本派と西日本派である。これは、そば派とうどん派と言えなくもない。ラーメン派というのもいるが、あれは東も西も無く中立派だ。ここはひとつ、オブザーバーに徹してもらいたい。
 そばの代表と言えば、○ンカスの入ったたぬきそばである。対するうどんの代表と言えば、お揚げの入ったきつねうどんである。東対西の対決は、たぬきときつねの対決でもあるのだ。というと、たぬきうどんやきつねそばもあるではないかという意見もあるだろう。しかし、本来そのようなものはないのだ。あれは、そばもうどんも両方扱う立ち食いそば屋が、手間も経費もかけずに少しでもメニューを多く見せようというせこい戦略だ。騙されてはいけない。

 そばとうどんの仲は悪いと言うが、どれくらい仲が悪いかを知っている人は少ない。しかし、そばとうどんの争いは熾烈を究めるのだ。そばが○ンカスを出せば、うどんはおいなりさんで対抗するというものだ。危なすぎて、テレビではまともに放映できないのである。モザイクやボカシを入れるしかないのだ。タヌキとキツネのボカシ合いとは良く言ったものだ。

 まがりなりにも東日本派であるわたしとしては、是非ともそばを応援するつもりで、今日はタヌキを題材にしたいのだ。決して、○ンカスが好きだというわけではない。わたしは、そのような人間ではない。それはともかく、そういうわけで、今日の蘊蓄の題材はタヌキなのだ。手抜きのダジャレではない。タヌキの蘊蓄である。

 一般的にタヌキは夜光性の動物と言われている。タヌキはどうして夜光性なのだろうか? 最近のタヌキゲノム学会の発表では、一部の遺伝子に夜光性となる証拠が発見されたとのことだ。タヌキゲノムの研究とは、いわゆるDNAの配列をとにかく全て調べようという研究である。そうして調べていくうちに、夜光性遺伝子が発見されたのである。
 夜光性遺伝子は、タヌキの体内にルシフェリンという物質を作り出す。ルシフェリンがルシフェラーゼという酵素によって酸化される時、化学反応によって物質内の電子が励起状態になる。そして、これが基底状態に戻っていく時、エネルギーを放出して夜光状態となるのである。

 さて、本題のタヌキの捕獲方法であるが、効率良く捕獲しようと思うならば、この夜光現象を利用する以外に手はない。この夜光現象、実はメスを誘うフェロモンの役割を果たしているのである。つまり、ルシフェリンを人工的に発光させ、タヌキをおびき寄せるのである。
 しかし、これではメスタヌキしか捕獲できないのではないかと思われる方もいるだろう。しかし、心配には及ばない。最初にメスタヌキを捕らえ、後はこれをオトリにするのである。タヌキは意外と狂暴な性格で、メスを奪われたとなればきっとこちらに襲いかかってくるに違いないのだ。タヌキだけに非常に短気なのだ。

 この時注意しなければならないのは、オトリにするのはメスタヌキの中でも母タヌキでなくてはならないということだ。若いメスタヌキでは、「俺の女に手を出すな」とばかりに大量のオスタヌキが襲いかかってくるからである。タヌキをなめてはいけない。
 タヌキの爪は意外と強力で、月の輪熊もやられてしまうことがあるくらいだ。タヌキネイルというやつだ。狙うならば、多少歳のいった母タヌキの方が良い。その子タヌキくらいしか襲いかかってこないからだ。どうやら、タヌキの世界のオスは、人妻に興味が無いないらしい。

 と書いたのはいいが、実際にこの方法を試したことはないのである。机上の空論だ。実は、以前この方法を試そうとして東北の山の中まで行ったのだが、その狩猟方法は禁じられていると地元の猟友会に待ったをかけられたのである。この日の為に合宿まで行なって準備を重ねたというのにである。まあ、タヌキだけに短期合宿ではあったが。
 実はこの方法、タヌキ猟師が既に行っていたのである。その効果は抜群で、かつてタヌキ猟師達は、この方法でタヌキを乱獲していたとのことだ。一時期、タヌキが絶滅の危機に瀕してことがあったが、それはこの発光猟法が原因であったのだ。それ以来、発光猟法は禁止されてしまったのである。発光禁止というやつだ。

 しかし、タヌキ猟師も絶滅寸前まで乱獲してしまうとは困ったものである。タヌキを獲っても価値などあまり無いと思うのだ。だいたいタヌキの毛皮など、帯に短しタヌキに長しと言う位で、襟巻きくらいにしかならないのだ。
 それでも、現在では保護しすぎたせいか、逆にタヌキが増えて困っているという地方もあるという話だ。畑の作物を荒らす、いわゆる狸害というヤツだ。そういった地方では、この猟法も許されるかもしれない。いや、むしろ狸害を減らしたことで感謝されるかもしれない。
 いや、それどころか、村娘がサービスでエッチしてくれるかもしれない。あちらは狸害を食いとめることができる。こちらは狸の捕獲方法を実験できる。つまり、狸害のエッチというやつだ。

 と、まあこんな妄想をカキたてているだけではしょうがない。実際にタヌキを捕まえてみせなければ、みんなも納得しないだろう。それには、まず母タヌキを捕まえなくては始まらない。それこそ「捕らぬタヌキの母ちゃんよ」というもんだ。

 というワケで、今日の分はおしまいだ。では、また会う日まで。


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