
第36回 96.11.22くらい 『こわいもの』
突然であるが、わたしは鰻頭がこわい。
こういうことを書くと、「ははあん。みやちょは饅頭が食いたいのだな」と思うかもしれないが、それは違う。わたしは、酒呑みの典型で饅頭のような甘いものを好んで食べる習慣が無いのだ。まあ、勧められたら断らないけどね。勘違いをされては困るが、わたしは饅頭がこわいなどとは一言も言っていないのだ。
わたしがこわいのは、鰻の頭だ。ウナギのアタマ。大量のウナギのアタマに襲われるところを想像すると、あまりの恐さにいても立っていられない程なのだ。泣いてしまいそうになるのだ。だから、わたしのところに大量のウナギのアタマを送り付けることだけは、止めてほしいのだ。
ウナギのアタマがこわいと言ってもあまり同意してもらえないだろうが、地震がこわいと言えば、みんな同意してくれるだろう。何しろ昔からこわいものランキングにおいて、常に1位に数えられるのが地震だからだ。
しかし、地震の恐怖は克服できるものである。それにはどうすればいいかというと、ヨガを修得するのだ。もっともそれは、かなりの修行を要する。どれくらいの修行かというと、空中浮揚ができるまでなのだ。地震が起こったら、すかさず精神を集中させて空中浮揚をするのだ。地震の力も空中にまで及ぶまい。たとえ日本が沈没しても大丈夫というものだ。
しかし、自分だけ助かってもしかたがない。できるだけ多くの人に助かってもらいたいものである。少なくとも自分の家族くらいは、助けたいものだ。そこで、家族みんなでヨガの修行をすることをお勧めする。家族全員が空中浮揚ができるまで、頑張って欲しいのだ。もし、家族全員が空中浮揚できたら、浮揚家族と呼ばれることだろう。地震の恐怖はともかく、少なくとも税金の恐怖からは逃れられるかもしれない。
空中浮揚をして地震から逃れられたとしても、家などの財産に被害があったら大変だという人もいるだろう。たしかにその通りだ。しかし、それでも命が助かるだけマシというものだ。ちなみに、このような状態を「不幸中の幸い」と言うが、あるいは「飛行中の災害」とも言えるだろう。
というワケで、今日の分はおしまいだ。では、また会う日まで。
96年目次
前
次