第31回 96.11.16くらい 『またまた・ふられみやちょ』

 いやはや、わたしはどうしてこうモテないのだろうか。フラれ続けて50年、今日もまた、わたしはフラれるのであった。
 今わたしは、恋の病を患っているのだ。お医者様でも、クア・リゾート草津でも治せないというヤツだ。胸がこう苦しいのだ。飯もロクに喉を通らないので、大変困っているのだ。

 悩んでもしょうがない。こういう時は、行動あるのみだ。結果を恐れては、何もできない。「見る前に跳べ」である。ええと、ここまで書いていて、昨日とまったく同じ事を書いていることに気が付いた。しかし、今日はここからが違うのだ。ええと、ここまで書いていて、昨日とまったく同じ事を書いていることに気が付いた。しかし、今日はここからが違うのだ。ええと、ここまで書いていて、3日前とまったく同じ事を書いていることに気が付いた。しかし、今日はここからが違うのだ。ええと、ここまで書いていて、3日前とまったく同じ事を書いていることに気が付いた。しかし、今日はここからが違うのだ。

 さて、3日前、昼休みにちょっと抜け出して京都に行ってきたわたしであるが、ただ京都に行ってきたワケではない。もちろん、江戸屋小猫の舞妓さんに遭う為や、大量のカラシやウルシが入ったぶぶ漬けを食べに行ったわけでもない。ましてや、ダジャレを書きたいが為に行ったワケでもない。
 実は、ちょっと寺で座禅を組んできたのだ。まあ、近くの寺でも良いが、どうも近所の寺というのはありがたみが薄い。きっと京都なら良い寺があるかと思い、すぐさま出かけることにしたのである。「禅は急げ」というくらいだからなあ。

 しかし、行った寺というのはヒドイものだった。ヒドイというのは、そこの坊主がナマグサ坊主だったことである。余談だが、ナマグサ坊主の語源は、その昔、反乱を起こしたキリシタンから来ている。キリスト教とは戒律が違うからなあ。ナマグサ呼ばわりされるのも無理は無い。ちなみに、そのキリシタンというのは、何を隠そうナマグサ四郎時貞である。
 さて、ナマグサと言っても食べ物に関してはどうでも良いと思うのだ。わたしが気になったのは髪型である。さよう、髪型というからにはいわゆる坊主頭でないのだ。しかも、耳が隠れるほどのロンゲなのだ。禅宗なのに。わたしはウソと坊主の髷はゆったことがないので有名だったが、これでは撤回しなくてはならない。あまりにも見苦しいので、ちょっと坊主の髪の毛を結わえてきたのである。

 しかしここで、思わぬ秘密を知ることとなった。あの長髪には意味があったのである。このことは固く秘密にするように言われたのだが、どうしても喋りたい衝動にかられてしまうのだ。言ってしまおう。ここだけの話なのだが、長髪にしていたのは耳を隠す為だったのだ。

 坊様の耳はロバの耳 坊様の耳はロバの耳 坊様の耳はロバの耳

 嗚呼、すっきりした。そう。禅とはこのようにすっきりした心になれるものである。禅は素晴らしい。このような素晴らしい体験をしてみたい人は、わたしのところまで、今すぐメールを出すといいぞ。1回3万円でコーチするのだ。しかし、これでは座禅引水だな。

 それはともかく、座禅を組んでじっくりと考えたら、いままで何故フラレ続けてきたのかがわかってきた。わたしの戦略は準備が不足しているのである。だいたい名前を知らずに声をかける(第29回参照)なんていうのは、数学的に言うと「9の5乗」だ。国語的に言うと「愚の骨頂」である。
 とにかく、彼女についての情報を集めるのだ。彼女の名前はもちろん、趣味嗜好や行動パターンなどを調べるのだ。特に女の人は、服についての趣味が厳しい。だから、こちらも彼女の趣味に合わせるのだ。彼女の服に勝手に合わせて、ペアルックにするくらいの意気込みで望むのだ。そして、「いやあ、趣味が合いますね」となどと声をかけるのだ。センスが良いと思ってもらえるだろう。

 実はこの作戦であるが、春からずっと続けているのだ。「時系列が合っていないではないか」という人もいるかも知れないが、気にしないで欲しい。そんな些細なことを言うようでは、立派な大人になれないのだ。立派な大人になりたかったら、「みや千代日記」の矛盾点を気にしないことと好き嫌いを無くすことが大事なのだ。

 そういうわけで、彼女について色々調べてみた。時には家まで後をツケたこともある。そして、色々調べていった結果をメモ帳に記していったのである。メモ帳のどこに書いたかというと、もちろん尾行欄である。今流行りのストーカーというやつだ。
 しかし、やっぱりわたしはフラれたのである。ここまで用意周到に調べて、いよいよ告白をしようかと思ったら、なんと彼女はこの冬に引越しをしてしまったのである。離れ離れになってしまったのだ。わたしは、思わず昔流行った歌を口ずさんだのである。

 ペアで揃えたスト〜カ〜 春夏秋と後ツケ〜 離れ離れの冬が来る〜♪

 というワケで、今日の分はおしまいだ。では、また会う日まで。


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